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新星館(その2)

須田剋太のキャンバスから溢れ出るエネルギーに圧倒され...。
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大島館長と司馬遼太郎と須田剋太の出会い
 大阪出身の大島さんは、東京で建設機械工具の販売で成功し、それを株に投資したが、オイルショックのせいもあって失敗、莫大な借金を抱えた。
 故郷の大阪に戻り、心機一転、奥さんと二人でお好み焼き屋を始めた。14坪から始めた店「伊古奈」は大繁盛し、110坪まで大きくなった。
 そんとき、週刊誌に連載された司馬遼太郎の紀行文『街道を行く』の挿絵に出会った。以来、大島さんの脳裏からあの須田画伯への強烈な想いが消えることはなかった。思いあまって、近所にお住まいの司馬遼太郎さんに仲介をお願いした。
 須田画伯は自分の作品が美術館のような冷え冷えした空間ではなく、生活感のある生きた空間に飾られることをかねてより願っていた。渡りに船であった。
 須田画伯は「伊古奈」を見るなり、一目で気に入った。24点の作品が無償で店に届けられた。大島さんが代金を支払おうとすると、須田画伯は「それなら絵は引き上げる」と言い張る。
 困った大島さんは司馬遼太郎さんに相談すると「甘えてもらっておけばいいよ。その代わり、その代金の分、おいしいものでも届けてあげなさい」。
 以来、大島さんは定休日には心づくしの料理を持って、須田画伯宅へ訪れるようになった。

清貧の画家・須田剋太
 須田剋太(1906〜1990)の芸術観の根底にはプリミティブへの憧れ、東洋思想、とくに道元の『正法眼蔵随聞記』への心酔があった。須田剋太は生涯「無一物」を標榜し、そして実践した。
 それは「私は子供のようでありたい。原始人のようでありたい」と願う須田が、好んで描いた「無一物無盡蔵」という文字にも伺える。
 司馬遼太郎は須田剋太について次のように書いている。
 「骨の髄から道元好きのこの人は、『正法眼蔵随聞記』の”学道の人は先づ須く貧なるべし。....僧は三衣一鉢の外は財宝をもたず。居処を思はず。”を生活の信条にしている。」

■「新星館」案内
展示作品・須田剋太の絵画と書、島岡達三の陶芸作品、約120点
住  所・北海道上川郡美瑛町新星の丘
     tel.0166-95-2888
アクセス・JR美馬牛駅より車で約5分
開館時間・10:00〜17:00 入館料 500円
休館期間・11月〜4月

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 吾輩は大島館長の了解を得て、須田剋太の絵画と書、島岡達三の作品の撮影をお許しいただき、微力ながらこの美術館の広報に務めることにした。



 須田剋太は、「抽象・具象」について、次のように語っている。「抽象とは建築であり哲学であり、宗教であり、然りと云えども人間の生きる上での感動でなければならぬ。具象とは日日の生活であり、食物であり、然りと云えども生命の生きる上での感動である。具象から抽象へ。抽象から具象へ。真の自由脱落なら二つは回向(えこう)転換している。」

 須田剋太のコレクションは、大島さんの経営する東大阪市にあるお好み焼き「伊古奈」(tel 06-725-1008)と敷地内にある喫茶「美術館」でも楽しめる。



 島岡達三のコレクションは、大島館長が結婚した27歳のときから日常で使う食器としてそろえ始めたものだ。



「参考資料」ディスプレイ東京 2006/夏号、小海町高原美術館発行/図録「須田剋太・島岡達三」



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