今度は何にするかとパラパラ雑誌をめくっていたら「鰻屋」が目に止まった。一つは上野・不忍池の南あたりの鰻屋、あと一つは浅草の駒形橋あたりの鰻屋だ。よく見ると駒形の鰻屋は小説家で美食家の池波正太郎お気に入りの食事処だという。
すぐに決まった。「浅草に行こう!」と電車に乗って浅草に向かったが...。 慌て者でどこかオッチョコチョイな吾輩である。折角、雑誌をコピーして雷門からの道順を確認していたつもりが、そのコピーを鞄に入れたまま、持ってくるのを忘れてしまった。
雷門には交番がある。そこで聞けばいいではないか、と思ったが、鰻屋の店名を覚えていない。確か浅草でも老舗の「鰻屋」だったなぁ。それだけならまだ良いが、池波正太郎の名前までド忘れしてしまって...トホホ。
結局、「あの..アソこはどこ?」というようなトンチンカンな質問は、吾輩のプライドが許さずできぬ話だ。
そんなことで、おぼろげながら覚えていた地理的イメージを便りに店を探すことにした。あのアサヒビールの雲があるところよりは南側で、隅田川の西側あたり... 。自転車に乗っているご婦人を見つけ尋ねた。「このあたりで、鰻屋の老舗を知りませんか。名前を知らないんですが...」「鰻屋さんはこのあたりに確か二軒くらいありますが、アソコとアソコ。でもお探しの店かどうか...」
自信はなかったが、最初に教えてもらった店の構えはどことなく風格があり、ここだと直感した。二階に通され、部屋から見える隅田川風景が雑誌で見たものと同じような感じがして、ますますここだと自信を持った。
さて、何にするかと「おしな書き」を眺めてみると、前川(12,600円)、雪扇(8,400円)、月の舞(12,600円)、花冠り(17,850円)、蒲焼 天然鰻(時価)..とあり、やっと吾輩でも食せる値段の「蒲焼」と「うな重」を見つけた。
この際、清水の舞台から飛び下りる覚悟で贅沢するかと思ったが、今は身分相応にジッと堪え、それでも少し背伸びの「うな重」(写真/左上 4,725円)と「春の恵み盛り合わせ」(写真/左中 1,680円)を注文した。
ちなみに「春の恵み」とは、うどのキンピラ、筍、鮭(?)で巻いた菜の花にふき煮、なかなか美しく春の先取り、御主やるなぁと云ったところか。
ホテルに帰りコピーを見たら、やはりこの「駒形 前川」が池波正太郎お気に入りの鰻屋だと分った次第。小生も、いつか、前川の天然鰻の蒲焼(予約要)を食してみたいと思うのだが...。









