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洛北の禅宗の寺は静寂の中にあり、悠々たる時空が迎える

正伝(禅)寺/Shoudenzenji


正伝(禅)寺/Shoudenzenji

京都を訪れた二つの目的


新幹線で久しぶりの京都に来た。ぶらり京都駅内にある伊勢丹に入り、一目で気に入ったシャツを買い、エスカレーターで降りていたら「デヴィットボウイ写真展」の文字が目に飛び込んできた。驚いて、上りのエスカレーターへ乗り換えて再び上階へ。偶然とはいえ不思議な感覚だった。どうして彼の写真展がここにあるのか....。正伝(禅)寺/Shoudenzenji

実は2017年6月9日一泊二日で京都に来たのは、二つの目的があったのだ。一つは当日の夜にあるイリーナ・メジューエワのピアノリサイタル、そしてもう一つは翌日、デヴィットボウイが感動したという寺を訪ねようと密かに計画していたのだ。学生時代に4年も京都にいたのだが、その寺の名前すら知らなかった。
リサイタルは日本を代表する建築家の一人・磯崎新の設計した京都コンサートホールの小ホールで、このホールはステージが低く客席との一体感があって素晴らしい。このホールを訪ねるには、宿泊するホテルから市営地下鉄烏丸線の丸太町駅あるいは今出川駅から乗車すれば、北山駅まで十数分で着く。あとは徒歩で1〜2分というところか。昨年に続き、このホールで彼女の素晴らしい演奏を聴くことができた喜びはいうまでもない。
そして翌日、文字通り旅人となり、御所に面した烏丸通りのホテルから西に向かって徒歩で堀川通りまでテクテク歩いた。敢えてスローライフを選んで市営バスに乗り、地元の人々に道を尋ねながら初めての正伝(禅)寺を訪れた。正伝(禅)寺/Shoudenzenji

デビット・ボウイが涙した寺

正伝(禅)寺/Shoudenzenji
デヴィットボウイが感動のあまり涙を流したというこの寺は、洛北にあり、本堂の廊下から東に遠く比叡山を臨み、ときおり流れる涼風に汗ばむ身体を委ねる。読経かと思えたかすかな虫の羽ばたき、静寂のなかで鶯の美しい啼き声が響きわたる、うっとりとしたこの心地良さよ。知られざる京都洛北のこのお寺は、比叡山を借景にした臨済宗南禅寺派の正伝寺(正式名称は吉祥山正伝護国禅寺)という。 正伝(禅)寺/Shoudenzenji

この寺は、吾輩の飼い主が学生時代によく訪れたという、同じ比叡山を借景とした臨済宗妙心寺派の円通寺から西へ約4kmあまりに位置する。正伝禅寺は、大勢の人で訪ねる寺ではない。願わくば、この寺の境内の静寂を損なわぬよう、一人もしくは二人くらいで訪ねたい。言葉は、自らの心に語れば良いだろう。大勢のグループで訪れるところでは決してない。(2017年6月17日)

東京上野から谷中にかけての鶯


この文章をFacebookに流したら、即座に知人N氏からコメントが送られてきた。
『いいですねー!その京の風景や鶯の音の素晴らしさが忘れられず、京の都から東京上野、東の比叡山を意味する東叡山寛永寺にいかれた輪王寺宮様は、琳派を開いた尾形光琳の弟、尾形乾山に命じ、3,500羽あまりの京の鶯を東京上野に放たれたようです。東京上野から谷中にかけての鶯は、上方、京言葉で鳴いているといわれるはその史実のためです。京都から東京に飛んだ京言葉の鶯の名所は、山手線、鶯谷の駅名や、谷中の初音町の町名に残っています。』正伝(禅)寺/Shoudenzenji

なぜか虚空のなかに日本的な優しさが


このエントリーを観た知人のO建築家から独り言が送られてきたので、紹介しておこう。
『小生も一度正伝寺にはいったことがあり、それはたしか立原正秋の庭に関する本で知ったからだったように思います。なぜか庭の右側の小さな門の屋根に丹下健三の代々木のオリンピックプールの遠景の原型を感じたような記憶があります。二条城も代々木オリンピックプールのエントランスの見上げの原型を感じたように、なぜか優れた日本の近代建築には伝統建築に原型のようなものを感じさせるものがあるように思います。正伝寺の庭の虚空は日本人の空間の原型としての伊勢神宮の建物が建っていない隣接地の空白に通じるような気もしますが、なぜか虚空のなかに日本的な優しい感じがしたように思います。これは石が置かれていないことと関係しているのでしょう。建築家の独り言です。』正伝(禅)寺/Shoudenzenji

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