三度目の湯布院ではあったが、今回ほどホンモノの湯布院を感じた旅はなかった。それは同時に、悲しいことだが、エセ湯布院を見る旅でもあったが...。
上っ面の経済に媚び、どこにでもある薄っぺらな観光客目当ての「みやげ物」屋が軒を並べ、人が群がる。吾輩の仲間を売り物にした猫の館やテディベア館。どうしてこれが湯布院なのだか判らないが。
それだけに奥に秘めた厚味のある湯布院が対比され、印象深かったのかも知れない。吹く風が心地よく、菜の花の黄、ざわめく木々の緑、小川のせせらぎ、満喫するに十分なほんものが湯布院にはある。(写真/上は湯布院の菜の花 2000年4月22日撮影)
尾道から猛スピードで車を走らせ5時間あまり、この特急電車だともっと楽だった?!(写真/中は特急ゆふと湯布院駅舎)
噂に聞いていた建築家・磯崎 新の設計による湯布院ステーションは、お瀟洒なつくりで実にいいねぇ。それにしても、このデザインが影響したのか、タクシードライバーの制服は、さしずめシティホテルのベルボーイといったところ。お客様をお迎えするのだというこの町のホスピタリティの現れ(?)と感心したのだ。
そして、町をさまようと、ほっかほかの「お焼き」にも巡り合える。「おばちゃんのお焼き屋」といったら、道を教えてくれるだろう。但し、「今日はやっているかなぁ」とは、道案内の人が異口同音にいう言葉だ。もちろん、味は吾輩が保証するが。
湯布院の本物嗜好は民宿やペンションにも感じられるところ。民宿の「天日(てんにち)」とペンション「麓舎(ふもとや)」はその代表格だ。
民宿「天日」は、四代続く宮大工のおじいちゃんが一人で建てたものだという。建材はさして良いものを使っているとは思わないが、そのしつらえはセンスが実にイイ。料理をはじめとして、旅館と名の付くところが恥ずかしくなるのでは、と思われるほどなのだ。
この民宿が紹介してくれた、バーも大いに気に入ってしまった。経済をこえるとはこのことで、京都の蒔絵師がつくったという蒔絵美術館の2階にある。こんなバーが尾道にでもあったら、吾輩は毎日通い詰めとなり身がもたなくなってしまうニャン。このバーは、湯布院のゲストホールというところか。
喫茶店では何といったって、「天井桟敷」(写真/下)と「タンズ・バー」。「天井桟敷」はもちろん、その名の通り、天井が低く、吾輩でも気をつけないと思わず、ゴツンとぶつけてしまいそう。アームチェアに深々と身体を委ね、コーヒーと「モン・ユフ」を注文。これがまた実においしいのだ。「モン・ユフ」とは由布岳を意味しているのだが、くどくど説明はしない。
広いガラス窓越しに木々が風に揺れ、流れる賛美歌が心和ませる。日向ぼっこしまどろむ猫の境地がここにはあるのだ。湯布院に流れる時間、それは信じいがたいほど豊かだった。









