尾道の空家の秋の発見で、吾輩はあの勇壮な大山の紅葉を見たいという衝動に駆られたのだ。衝動に駆られたわけだから、もちろん計画性があろう筈もない。初めから計画がないのだから、どのルートを通っても問題はないということだ。
ナビ頼りの最近のドライバー諸君とは違い、吾輩の友は地図である。地図を頼りに自らの意志で、目を細めながら地図を追い、好きなルートを決定するという、実に気ままで贅沢な旅である。
結局、高速道路は風情がないと、すぐ次の福山東ICで降りてしまった。降りたとなると、道はロマンチック街道・国道313で井原、成羽、高梁を経て北房から蒜山高原経由で行くか、はたまた国道182号線で東城へ出て新見から180号線に乗り換えて大山へ行くか、さらには東城から314号線に乗り換え西城へ出て、さらに183号線に乗り換えて道後山の麓を抜けて大山に行くか。ここが思案のしどころである。
吾輩は、福山東ICから大山に最短距離だと思われる182号線を選び東城、新見へ、その後180号線ルートへのドライビングを楽しんだ。途中、小雨の降る中、千屋というところで昼食をとり、一気に大山へ向かった。

大山には、沢山のマイカーが押し寄せていた。そして観光客はすべてカメラマンといった格好だ。一見プロ風の重装備をした高齢者写真同好会、ケータイのデジマメを構える若者たち、そしてホームページに掲載するために愛用のデジカメでシャッターチャンスを伺う吾輩などなど...。
そんな観客を後目に、勇壮な大山は厚い雲をまとい、チラッとその稜線を見せただけだ。ガリバーかスーパーマンが一息吹くだけで、あんな雲なんぞ、吹っ飛んでしまうのに、と夢想するのは吾輩だけか。

とにかく、許される時間の中で、数コマの写真は撮ることができた。まっ、これで我慢するかと、すたこら大山を後にした。
立冬を過ぎた夕刻は、もう真っ暗だ。米子自動車に乗り、落合ジャンクションから中国自動車道で北房ジャンクション、さらに岡山自動車道で総社を経て岡山ジャンクション、そして山陽自動車道を快走し福山西ICを降りてわが町・尾道へ。総走行距離380kmの日帰り旅であった。









