尾道駅前から西に2〜300メートル通り過ぎ、ハツと目が釘付けになってしまった。瞬間、網膜に焼きつけられたというのが、真実かも知れない。あまりの美しさに心が動いたのだ!
何もクレオパトラか楊貴妃か、という世紀の美女に出くわしたわけではない。四季折々の変化を愛でる日本人の美意識、その一端に触れたのだ。それも、町中で...。
丘のような三つの山と島に囲まれた尾道町で秋を彩る鮮やかな紅葉を見ることは稀だ。松やウバメバシなどの常緑樹が多いためであろうか。
この時期、バルト三国の一つ、エストニアの首都タリンにあるカドリオル公園で見た、あの美しい紅葉を再び見たいと思っていたのだが、尾道駅に近い町中の思わぬ場所で、憧れのその一部分を発見したのだ!
「空家の秋」と洒落ては見たが、緑から褐葉、黄葉、紅葉へと美しい秋色のグラディエーションを一面に見せるこの光景には、さすがの吾輩も唸ってしまった。
『落葉の美しさ、それは落陽の美しさにも似て、やがては朽ち果て滅び行く美しさ...』だなんて、詩人になった気分だニャン。

あれから早、9ケ月が過ぎてしまったのか。移ろう自然の美しさには、吾輩ぞっこん惚れ込んでしまうのだ。この空家の前を通るたびに、変化する色彩に心を打たれ、「シャッターチャンスだ」と思うのだが、いつもデジカメを忘れていた。
そんな吾輩も7月の中旬、ついに瑞々しいまでの緑色した空家の蔦を撮ることができたのだが、迂闊にも今日まで撮ったことさえ忘れていた。これぞまさしくトホホのホだニャン。









