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路地周辺を勧商場と呼んでいたが、いつの間にか

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勧商場/KanshobaAlley


勧商場/KanshobaAlley

勧商場の今昔あれこれ


勧商場(かんしょうば)は、久保本通りに面した元「マコトヤ文具店」の西5〜6mのところを海側に曲がったところにある。路地の入口右手にあった建物は、吾輩が知らぬ間に路地の天敵・車の餌食(駐車場)になっていた。向かって左手はガレージに占拠された家屋、右手は野天の駐車場(元はいぬいし化粧品店)になっているのだ。勧商場/KanshobaAlley

昔はこの路地周辺を勧商場と呼んでいたそうだが、いつの間にか奥行き数十米の路地そのものの名称になっている。勧商場は文字通り商業を勧めるという意味で、戦前には、両側に店が建ち並び、芝居小屋もあったという。
この路地の突き当たりは雁木になっていて、付近にはマンホールの権威者でイラストレーター兼著述業の林丈二さん公認の珍しいマンホールもある。
最近つくられた土堂海岸の雁木(がんぎ)は、どれをみても風情がない。経済的な問題なのか、それとも感性の違いか。中国産の安っぽい石であまり感心しないが、その点、ここの雁木に使われている御影石とその仕事振りには惚れ惚れするねぇ。「新しい」が即「美しい」とは同義語ではなく、「古くても美しい」ということの意味が良くわかる事例だ。

雁木にまつわる面白い話


この路地を通り抜け、雁木をトコトコ降りたところに骨董屋ができていて、ニャンとも言えぬ良い雰囲気の景観をつくっている。その骨董屋の前に尾道で唯一予約制(2日以上前) のイタリア料理店「ばるGOCCI」ができたのを吾輩が知ったのが2010年の秋だった。
これには面白い話がある。実はサックス奏者でミジンコ研究者の坂田 明さんを尾道にお招きしたとき、坂田さんが「ワシの義弟が、海辺でイタリアンの店を始めたんだ。結構おいしい料理だ。そこで会いますか」となった。店名を聞いたが、尾道の津々浦々を知り尽くしている吾輩に、海辺で新たなレストランができたなんて、全く知らなかった。会う人、みんなに聞いてもその場所がわからない。おかしな話だと思いながらの数日後、とある和食の店に行き、所在がわからぬその店の話をすると、「そりゃぁ、私の同級生だった石田くんの店だ!!」という。その場所はというと「勧商場の突き当たりの雁木(がんぎ)を降りて、すぐの右手角の店だ」とわかった。江戸時代には、この雁木の下まで海があったということで、昔は海辺で今は海から遠く離れた...ということで一応一件落着とあいなった。勧商場/KanshobaAlley

尾道の路地がやっと注目されてきた。

話はもとに戻って、2012年には、雁木を上がった二軒目あたりに「歓商場」という焼鳥屋がオープンした。何でもオーナーの祖父が住んでいた民家を自らの手でコツコツと改装して開店にこぎ着けたのだという。それで「勧商場」という路地名を少しだけ拝借し、喜びのあまり「歓商場」という屋号にしたのだろうか。
そして今年(2018年)に元のコロンビア喫茶店が、若い女性の手により新たに喫茶「定食・キツネ雨」として改装オープンしているようだ。店内はレトロな雰囲気らしく、何でもお店の女性スタッフは大正時代を彷彿させる着物姿で客を迎えるという。このお店、若者向きで大人には場違いなところだと聞いたので吾輩は遠慮している。それにしても、最近の若者は路地に魅せられるらしく、ますます尾道の「路地」は面白くなるだろう。勧商場/KanshobaAlley

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