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ちょっと気になる尾道風景(4)

無機質も尾道の時間でゆっくりと熟成される...。
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 歴史都市といわれるだけあって、尾道には鎌倉、室町から江戸期までの建築物をいたるところで見る事ができる。それだけに、その歴史を大切にするという基本的な考え方に思わぬ落とし穴があったのだ。
 ほんの数年前まで、尾道人の頭の中では、明治、大正、昭和の時代を価値ある歴史の対象と考えていなかった。日常生活の延長線上のちょっとした過去でしかなかったのだ。その結果、この十数年の間に数多くの明治以降の歴史的建造物を惜し気もなく壊していった。そして今、この尾道町を世界遺産にしたいとはちょっと皮肉な話だニャン。

 かつては、ぼやき漫才というのが流行ったそうだが、今や「ぼやき」は時代遅れだ。アバンギャルドも楽しめる吾輩だ。もっと、前向きに話を進めるとしよう。
 さて、さて、それでも尾道にはまだまだ残しておきたいものがある。尾道駅の北口を出て左に進むと、昭和の初期の鉄筋コンクリート4階建てと木造3階建ての妙にマッチングした建築物(写真/上)が目に止まる。洋館の内部はこれまた昭和の良き時代が生きているのだが...。尾道弁でいうミシチャラン、オシエチャランということにしておこう。

 尾道町は芸術的だ。なぜ芸術的なのか、その実例がこの左官の仕事(写真/中)に見られるのだ。石段の淵にブロックを積み、その上にセメントを丁寧にコテで塗り付け、形を整え、実に個性的な自己表現をしているのだ。これはもう仕事(経済)を超えた、代物だねぇ。この溝の上には、吾輩が名付けた「和製ガウディ」の建築物がある。

 アワビの「片思い」とはよく云われることだが、石段(写真/下)の両側に建つコンクリートの柱と塀には、相思相愛のアワビの抜け殻が随所にはめ込まれている。
 ちょっとした尾道人の「遊び心」で、無機質のコンクリートもほんのりと色気がでるものだ。吾輩は「過ぎ去りし青春の石段」と名付けたいのだが、いかがなものか。
 この石段は、尾道駅の北口付近にあり、千光寺山の斜面を実にうまく利用して建てられた旅館「松翠園」の玄関に至る。それにしても、この貝殻は何枚あるのだろうかと数えてみたくなるのは、吾輩だけだろうか。


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