朝9時30分ホテルのロビーに集合し、バスとの合流地点まで、各自大きなトランクをゴロゴロ引いて歩いていった。寒いはずの朝も、おかげで身体がポカポカしている。
実は、ホテルの前は石畳の工事中でバスが入れない。日本では、広い道路なのだから、半々づつ掘り返して片側通行にするところだが...。
曲がりくねった石畳の道はいたるところで工事中で、その工事のやり方は通行する車両のことなどお構いなしだ。バスのドライバーが車両を降りて、工事用の看板類を動かさなければならない場面もあったが、その間、工事をする人々はただ見ているだけだ。
それでもホテルを出てヴィリニュス国際空港まで15分で到着した。実に便利なところにあるものだ。....と、ここまではよかったが...。
空港のロビーに入って、フライトスケジュールの掲示板をみて、誰かが叫んだ。「ヘルシンキ行きのフィンランド航空AY2132が欠航になっている!!」
実は吾輩たちが知らぬ間にフィンランド航空がストライキに突入したのだ。ということは、「日本にも帰れない!?」ということもあり得るわけだ。
数時間後、JTBの添乗員さんが航空会社と掛け合い、なんとか、二つのグループに別れてのヘルシンキ行き航空券を確保してくれた。
吾輩達は後発組となった。国際空港といいながら、猫の額ほどのターミナルだ。延々8時間、檻の中の虎のようにウロウロしながら時を過ごしたようだ。
ようだというのは、8時間の記憶が曖昧なのだ。昼食時にワインを飲んだせいかも知れない。長〜い時間であったようにも思え、アッという間の時間であったような気もするニャン。
ときにはギョロギョロと目玉だけを動かし、チェックインするスタイルのいい人々を観察したり、ときにはデジカメをズームアップして、1m80cmはあろうかと思われる美人の航空係員の横顔を辛うじて写真に収めたり。それにしても狭いロビーだ。吾輩のような小心ものは、デジカメを構えること自体はばかるような狭さだ。


かくして、吾輩達はようやくターミナルに別れを告げ、夕暮れのヴィリニュスをヘルシンキに向けて飛び発った。約1時間15分という短いフライトで飛行機は無事にヘルシンキ空港に降り立った。さらに空港から都心まで車で30分、先発組が待っているホテルに到着した。

ホッとする間もなく、実はこれからが二転三転のどんでん返しの始まりなのだ...。