周六

手作り家具が飾られた、いつまでも完成しないカフェ...
周六
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 建築家・伊東豊雄さんの「柔らかい建築」というタイトルの面白い文章を目にした。流動する建築、建築工事が終わっても常に変化し、完成したという感覚のない「動き」「流れ」のある「柔らかい」建築が可能となってきたというものだ。固まっているのが建築だと思っていた吾輩には衝撃的な考え方だニャン。
 フムフム、ひょっとして次世代スーパーコンピュータが高度の構造計算を可能とし、新たな新素材の開発により、風に吹かれて「揺らぐ」建築や温度や光によって「色彩や形状まで変化する」建築、有史以来の建物からは「常識を超えたフォルム」の建築までが可能となってきたのか。

 いつもの癖でまたまた話が横道の路地に迷い込んでしまった。吾輩が頭の中に思い巡らせていたのは、このいつまでも完成することはない「流動的な建築」と、いつまでも完成という終わりのない「周六」の店づくりで、何故かこの二つのイメージが重なってしまったのだ。

 尾道町のど真ん中の外浜の、そのまたまん中に建つ宮邊海産(塗源)に「周六」という看板がかけられて2年と3ケ月が過ぎた。
 と簡単に書いてはみたが、何でも興味津々な吾輩、2年と3ケ月間という長〜い期間、「一体何ができるのか」と待たされ続けてきたということなのだ。
 そして、2006年10月10日ようやく開店したらしい。らしいというのも、実は吾輩、10月はほとんど尾道を留守にしていたのだ。そんなわけで、営業を始めた「周六」の店内に入ったのは2ケ月後の12月に入ってからだ。
 なるほど、オーダーメイドの家具屋さんだけあって、椅子に飾り棚、トイレの洗面台から照明器具のカバー、そして数週間前にできたというクラシック音楽が流れる天井釣り下げのスピーカーまで手作りのオリジナルである。そのひとつ一つが時間を掛けて作られた来たのだ。

 

 今はコーヒーはブレンドだけ、紅茶はセイロン・ウバ産の紅茶だけ、そして ラムネにオレンジジュースにビールといった、いささかシンプル過ぎるメニューだが、目の前には立派なエスプレッソ・マシンがドカッと置かれている。
 尋ねてみると、紅茶のカップは尾道在住の作家もので、エスプレッソ用のカップも同じ作家に注文しているのだが、未だできてこないのだという。  何とも気の長い話だが、来春くらいには紅茶の種類も増え、エスプレッソとケーキもメニューに載る予定だという。オーナーは、じっくり見極め、納得しないと動かない、こだわりの職人堅気だ。



 そんなこだわりのオーナーは、家具や革製品、食品までのトータルブランドとしての「周六」ブランドづくりに取り組んでいる。
 その一つ、鹿児島・小川醸造の「周六」ブランド醤油が店内で販売されている。吾輩は早速、賞味してみたが、なるほど、ほんのり甘くコクのある美味な醤油だった。



 この店は、平成9年創業の立花工芸(本社/福山市)というオリジナル家具屋さんのアンテナショップであり、オーナー社長の立花洋紀さんにとっては、「周六」ブランドづくりの象徴的意味をもつ空間なのだ。「周六」はいつまでも完成することなく、あらたな「周六」をめざして変化していくのだろうニャン。

 2007年2月18日(日)、久々に顔を出してみたら、明日からメニューが変わるという。あのエスプレッソマシーンが稼動を始めるのだ。
 新しいメニューで最初に目に着くのが、エスプレッソで次にカプチーノ、コーヒーブレンドに尾道紅茶(デインブラ)、泡立てミルクティーにエスプレッソ・アイスクリーム(=ジェラード・コン・カフェ)、ケーキにアイスクリーム、ラムネなどetc.。
 「何がおすすめ?」と聞いてみたら、即座に「カプチーノにエスプレッソ・アイスクリームです。」との返事。ホホ...ォ、随分進化したものだ。

土堂2-9-20  TEL 0848-20-0607  Pあり
営業時間/11:00〜18:00
定休日/火曜日

2009年7月29日、周六から電話をいただいた。「今月をもって、店を閉めます。」
時代の流れか、また惜しいものが尾道から姿を消す。



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