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夢喰(バク)

Gallery Bar「夢喰」はアートな空間でお酒を楽しめる…。
夢喰(バク)
夢喰(バク)
夢喰(バク)

 それぞれの夢を抱いた若者が二人、尾道で出会った。やがて、ふたりは力を合わせ、それぞれの夢をひとつの場所に実現させること決意した。
 2012年の夏ごろだったか、空き家となっていた海岸通りの倉庫で、夜になるとトンカチ改装工事をしている風景を見かけていた。昼間には工事はストップしているようだった。夜間を選んでの改装工事とは、何だか不思議な建築現場だと思っていた。はてさてどんなお店ができるのか、興味津々の尾道人も多かったようで、吾輩もその一人であった。



 この店がオープンしたのは2012年10月10日。店の名前は「夢喰(ばく)」という。店内に入ると高い天井が開放感を与え、広い空間にゆったりとしたソファの設えが安堵感を与える。右手奥には杉の巨木で作られたL字型のカウンター(写真/左上)と9席の椅子が配置されている。



 カウンターの上に吊り下げてあるロート・アイアン(鍛鉄)のランプは、ひとつとして同じデザインはない。作家もののランプらしい。バックバーの棚には何十本ものウィスキーやグラスが整然と置かれている。目を凝らしてよく見ると、棚に数個の飾りの置物(写真/左下)があり、これもひとつ一つが個性的な作家もののようだ。



 この店のオーナーは、20代の若き亀山滋央・寛子ご夫妻だ。亀山滋央(しげひさ)さんは18歳から8年間レストランで働き、バーデンダー修行も積んで来た。奥さんの寛子さんは、尾道市立大学から同大学院美術研究科で油絵を学び、卒業後も旧姓の阿部寛子という名でアーティスト活動も続けている。そのふたりが選んだ道が「夢喰」の経営だった。
 かねてより亀山滋央さんは、ウィスキーやカクテルの魅力を若者に伝えながら、世界中のウィスキーをコレクションして将来的にはお酒の博物館をつくりたいと夢みていた。亀山寛子さんはというと、美大生のネットワークを生かしながら、店内をさまざまな作家たちの作品でアート化すること。そして、彼女同様に美術大学を卒業後も芸術の世界で頑張ろうとする若者を支援し、彼らのコミュニケーションの「場」づくりをすることだった。
 二人の夢がひとつになると、実現に向けたエネルギーが大きく増幅される。プロの大工さんにも手伝ってもらいながらも、ペンキ塗りからインテリア・デザインまで二人でできることは何でもやった。
 『今、振り返ると無謀とも思える計画を実行し、二人の自分流を貫徹したんです。そして10月10日にはオープンしないと運転資金が底をついてしまって…」と笑いながら開店前夜を語る若き二人。
 現在、店内の広い壁面(写真/左中)には、尾道市立大学を卒業後も制作活動を続ける先輩たちの美術作品をおよそ一ヶ月半ごとに展示替えしている。しかしながら、現役の尾道大学の学生が展示を希望しても、すんなりOKとはいかない。まず企画書提出から始まり、プロデューサーとしての寛子さんの厳しい目が待っている。愛の鞭というところか。
 そんなわけで、この店は一ヶ月半ごとに展示替えされる作品により店内の雰囲気がガラリと変わるが、ラフロイング30年、ハイランドパーク25年などコレクションと思えるウィスキーが並ぶバックバーとカウンターの雰囲気はちょっぴりアダルトでいつも落ち着き払っている。
 この店で吾輩のお気に入りのオブジェがレスト・ルームに飾られている。尾道の過去と現在の風景を象徴する小さなクレーン。かつて基幹産業として造船業で活況を呈した昭和の時代を彷彿させるのだ。



 「夢喰」とは「獏」の当て字だ。「獏」は中国から伝わってきた幻獣で、人の悪夢を食べて生きていると言われるが、この店に来ると、酔い客も美術を志す者も、将来への夢が大きく膨らんで来るかも知れない、とは酔っぱらいの吾輩の弁。(2014年1月2日)

photo by 大崎えりや

尾道市久保2丁目26-5 tel. 0848-37-0889
定休日 日曜日、祝日(*予約に対応可)
営業時間 19:00ー02:00

 

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