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尾道じゅうにん委員会

異業種の個性派が一同に集まり、緩やかな連帯をもって....。
尾道じゅうにん委員会

 社団法人尾道青年会議所(尾道JC)のメンバーであった一人の若者が、40歳で自動的に満期退会という制度を持つこの団体が、対外的に持続的な運動を呼び掛けながら、卒業と同時に、多くの者が全くそのことに無関係になることへの疑問を感じていた。
 その疑問への解決策が、JC現役時代に新たな組織を誕生させた。今から考えると尾道JCという組織は極めて柔軟な組織だった。現役メンバーが公然と全く別組織を作ることを黙認したのだ。それは「尾道じゅうにん委員会」という名の小さな組織だった。「じゅうにん」とは自由人であり、住人であり、十人という意味をもっていた。
 まちづくりの主体は「知的活性化」にあると考え、その当時10万人の人口であった尾道で、10人の仲間が真剣に動けば、まちは動くと考えていたのだ。
 1986年、JCメンバーを中心とした第一次「尾道じゅうにん委員会」が結成され、やがて1988年にはJCという組織枠を越え、さまざまなジャンルの有能な人材を一本釣りし、第二次「尾道じゅうにん委員会」が結成された。(写真/今はなき旧協和銀行前にて)
 この会は尾道在住の紙卸業、石油販売業、建築設計業にタクシー業のJCメンバーとコンピューターの専門家の大学助教授、商業デザイナー、フリーライターに喫茶経営者、ビデオ撮影業に彫刻家の10人、そして顧問として尾道出身者で東京在住の漫画家、ランドスケープ・デザイナーに建築家の大学講師の3名が構成員となり、さまざまなまちづくり運動を展開していった。
 まずは、文章化された唯一のものである「尾道じゅうにん委員会案内」をご紹介しよう。


1 まちづくりだけれど、まちづくりじゃない
 今の自分と生活に不満と疑問を持っていない人には、「まちづくり」は無理です。
「まちづくり」を維持していくパワーは、こんな自分じゃ駄目だ、こんなまちには住みたくないという不満のはけ口をエネルギーとしています。個々の感性を生かし、如何に生きるかということを追い求める心の発露が、個人と個人の関わり合いの中で社会的なものへと昇華する、そこに「まちづくり」があると思えるのです。そして、「まちづくり」パワーの根底は、何よりも自分たちの住むまちへのひたむきな郷土愛によって支えられています。個人の生活と「まちづくり」がイコールしたものが、これからの尾道の「まちづくり」だと私たちは考えます。

2 「尾道らしさ」を求めて
 尾道らしさノ.それは永々と引き継がれてきた歴史的文化遺産、尾道水道と尾道三山に囲まれた起伏に富む地理的条件に制約されながらも人間尺度で築かれてきた町並、美しく豊かな自然環境、これら総べてのものと対話しながら育まれてきた密集した生活文化にあると思えるのです。このまちでは、人が「生活する私自身」として存在し得るのです。
 人と人が皮膚感覚で話し合える「場」、文化・芸術が日常生活に同化する「場」、そして多くの人々が出会い、影響し合う「場」、尾道にはそういった顔が実に良く似合うと思うのです。また尾道というまち事体、多くのファンを持っています。私たちの願いは、そうした人たちをネットワーク化して「尾道ファン倶楽部」を創ること、そしてそれを基盤に「尾道らしさ」を発揮した「人的交流の拠点都市(人流の交差点)」として尾道が再生することなのです。

3 「尾道じゅうにん委員会」とは
 尾道の古い路地の一角にあり、藍色した暖簾の下には、自分たちの感性で創り出した新しい尾道の顔が並べてある。格子戸を開けて少し奥に入ると委員会メンバーや若い人たちが、自由に出入りできる小さなサロンがある。古いまちの小さなサロンだけれども、そこに集まる委員会メンバーの創り出すパワーと人的ネットワーク(尾道ファン倶楽部)、また発信するハイレベルな感性は、尾道の現在と未来を語るとき、避けて通れない文化の拠点である。そんな夢を持つ「尾道じゅにん委員会」です。
 「じゅうにん委員会」とは、尾道を愛するものが「まちづくり」について集い、語り、実践していく「住人」委員会であり、「自由人」委員会でもあります。参加する人の夢と主体性を尊重した「遊び心」を発揮しながら、もっと自由で、リアルで、身近なところから問題を掘り起こし、自分自身の生活の場から考え、実践していく団体として行動します。

尾道じゅうにん委員会(1988年)

<顧問> 岡河 貢(建築家・東京工業大学工学部非常勤講師) かわぐちかいじ(漫画家) 戸田芳樹(株式会社戸田芳樹風景計画 代表取締役)
<メンバー>
大崎義男(備三タクシー株式会社常務取締役) 大谷 治(茶房こもん代表) 柏原圭三(デザイナー) 川口協治(有限会社川口石油専務取締役) 高橋秀幸(彫刻家) 田坂公男(AV尾三特機代表) 野間圭介(尾道短期大学経営情報学科助教授) 岡本早苗(フリーライター) 元廣清志(有限会社元廣建築設計事務所代表取締役) 山北 篤(紙誠株式会社常務取締役)
 

「尾道じゅうにん委員会」の主な活動実績

(1)明治の代表的建築物「旧協和銀行」の一部
  部材を保存(1988年)
(2)尾道まちづくりシンポジウム
 「一億円をどう活用するか」(1989年)
(3)出会いの装置「アイアン・パルテノン構想
  (1989年)
(4)「出会いの装置製造本舗」の設立(1990年)

(5)尾道まちづくりシンポジウム(1990年)
 「味なしんぽ−食べながら夢を語る人々」

<出版物>
○路上観察「尾道短艇団」−観光マップ
「尾道がんぼう」企画(1988年)
○企画書
「出会いの装置-アイアン・パルテノン構想」(1989年)
○冊子「味なしんぽ−食べながら夢を語る人々」(1990年)
○尾道ファン倶楽部通信(1991年)


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