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歴史に刻まれる尾道市の不条理

重ねられた既成事実に様々な疑問が...。
歴史に刻まれる尾道市の不条理
歴史に刻まれる尾道市の不条理
歴史に刻まれる尾道市の不条理

 あれは確か2013年頃ではなかったか。
尾道市公会堂の前を車で偶然通りかかったところ、公会堂の北側壁面にピンを打ち込み、金網を取り付けている工事現場を見つけ、アッと驚いた。何をやっているんだ!思わず口走っていた。
 建築家・増田友也が設計した尾道市庁舎本館と公会堂は、杉板本実(ほんざね)型枠コンクリート工法という、杉板の枠型を作り、コンクリートを打設することで、杉の木目をコンクリートに転写する(写真左上)という大変手間のかかる工法で造られている。
 そんなことを知ってか知らずでか、陽の当たらぬ北側壁面だけに壁面緑化(?)のための金網を取り付けているのだ。コンクリートに穴を開けるということは、この建物のコンクリート劣化を早めることになる。
 すぐさま教育委員会に電話をして、調べてもらった。「何のために文化的価値のある公会堂のコンクリート劣化を進めるようなことをするのか?」と。担当者の回答はこうだ。「そんな有名な建築家の設計とは知らなかった。このたびは予算が付き、工事を始めたので止めることができない。この次からは気をつけます。」これには開いた口が塞がらなかった。
 尾道市の職員は、そんなことも知らされていないのか....。何の疑問も感じること無く、杉の木目を写したコンクリート壁面を蔦で被い、野外彫刻を囲む空間をも台無しにする、という事業計画を指示された通り忠実に行ったのだ。それにしても、こんな馬鹿げた計画を立案したのは誰か(!?)

 そんな記憶が甦り、思わず「信じられない!」と叫びたくなるような疑わしい思いが否定できないでいる。あの頃から、すでに公会堂を解体して、市庁舎を新築しようとでも思っていたのか!?...。これは信じたくない話だ。

 2014年、尾道市は突然、市庁舎新築を言い出した。これには市の職員も驚いていた。「市庁舎の耐震性能が極めて悪い、いつ倒壊してもおかしくはない。」、そんな尾道市の説明を市民は信じ切っていた。新築するなら今の場所でなく、どこか他の場所に新築すべきだ等等。市民はいつの間にか、市庁舎を新築するのが前提とした議論をしていた。そんな中で7月5日第1回市庁舎整備検討委員会が開催された。
 今から考えると周到に計画された「新築」劇ではなかったか、と思える節がある。公会堂の耐震性能の調査をしないまま、委員会は強引なまでに市庁舎「新築」の結論に誘導されている。尾道市のホームページに公開されている議事録がそれを物語っているのだ。
 決定的だったのは、新築案と改修案の概算工事費の比較データで、改修案の概算は、現実ではあり得ない工事内容で桁外れの金額が提示されていた。委員は、免震工法の専門家と鉄骨構造の専門家、そして広島県建築士会会長以外はほとんどの委員は建築の素人であり、尾道市より提示された改修工事費の概算金額を疑うものはいなかったようだ。表向き、ことは問題なく終わっている。このことは、その後の市議会本会議でも誰一人として問題にする者は居なかった。

 「尾道の将来を考える会」のメンバーは、尾道市が公開している第1回市庁舎整備検討委員会議事録を精査し、4種類の工法により算出提示された耐震改修における概算工事費に目を疑った。市庁舎本館(5,040mu)の工事費を1坪当り183万円(総額28億円)から212万円(総額32億円)と見積もっていたのだ。一方、尾道市が強引なまでに進めた日建設計との本契約では、現市庁舎の1.69倍の巨大建築物(12,700u)の新築費が約60億円で1坪あたり156万円だ。
 新築費より改修費が遥かに高いというデータは、明らかに「新築」への誘導を証明するものだといわざるを得ないのではないか。実際、お隣の府中市庁舎(6,000u)は、4億円(一坪20万円)の工事費で耐震改修を2014年春に完成させている。また尾道市庁舎本館と同じ1960年代の建築物である旧国立岡山病院(20,000u)は、2005年に耐震補強・全面リニューアルする大規模コンバージョンを実施し、「きらめきプラザ」を誕生させた。その工事費が25億円で、1坪あたり41万円だ。尾道市の提示した耐震改修の概算工事費は、その5倍から10倍という現実にはあり得ない金額である。
 尾道の将来を考える会が、実際に尾道市が提示した耐震性能調査のデータを基に、信頼できる専門家に尾道市庁舎本館の耐震改修工事費の概算を調査したところ、耐震壁をほとんど使用せず、日常の業務が問題なく行われるバットレス補強の工法で、余裕をもって1坪あたり40万円の6億円で十分耐震補強ができることがわかった。尾道市が提出した耐震改修の概算工事費が現実にはあり得ない高額なものであることがここでも証明されている。
 なぜ、このような尾道市民を欺くことをしてまで市庁舎を新築したいのか?
 3月尾道市議会での某議員の「日建設計の契約(約1億8千万円)日を市長選挙の終わる4月27日以降に延期すべき」「市長選挙の争点は市庁舎の新築か耐震改修かであり、改修派が市長となった場合、新築はSTOPされ、数千万円の違約金発生のリスクがある」との質疑に対し、尾道市は粛々と、急いで選挙前の4月15日に本契約を結んだ。なぜ、そんなに急ぐのか?

 尾道市は広報誌を使い、「耐震改修をしても耐用年数は伸びない」「海辺に免震工法により安心安全な防災拠点として市庁舎を新築」等等、大々的に誤った情報を市民に流した。
 なかでも「合併特例債」は、政府系の日本政策投資銀行がその危うさを指摘しているのを無視し、まるで補助金や助成金と同じく国が予め工事費の70%を現金を補償してくれるかのように市民に誤解させていることだ。  また、市長選挙告示がなされるこのときに至っても、「耐震改修をすると50年後にはまた膨大な改修費用が必要になり、二重投資となる」と誤った情報を市民に送り続けている。
 信頼できるコンクリートの専門家によると、「尾道市庁舎本館は、古いにもかかわらずコンクリートの中性化は1階が僅かに中性化しているだけ。公開データでは1階で31.2mmに達しているが,他の階は最大23.1mmとなっている。これらをもとに中性化速度係数を算出し、築100年後の中性化の深さを計算すると、1階の中性化さえ補修すれば,これから50年後も中性化は30mm以下でほとんど問題はなく,以後、過大な補修も必要ない。」のである。

 2015年4月9日付け山陽日日新聞に「尾道の将来を考える会」から尾道市庁舎に関する意見広告が出された。
第三弾 意見広告(pdf)

 

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