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顧客の90%が若い女性というクレープの店主の名刺には、「私は尾道の商人(あきんど)です」

ワンモア クレープ/OneMoreCrepe


ワンモア クレープ/OneMoreCrepe

クレープ専門店「ワンモア・クレープ」を誕生させた尾道の商人(あきんど)。


フランス生まれの「クレープ」という食べ物が、日本ではまだまだ認知されていなかった1976年、東京の渋谷公園通りの駐車場の一角に日本ではパイオニア的存在の店「マリオンクレープ」が誕生、その翌年には原宿竹下通りに2号店がオープンした。80年代に入り、クレープは手軽なスイーツとして、やがてファッションの街・原宿を象徴する食べ物になった。そして、尾道にもクレープの専門店が土堂のアメヤ小路に1984(昭和59)年9月1日オープンした。そのオーナーの名刺には「私は、尾道の商人(あきんど)です」と書かれていた。
名刺の持ち主は、『チェック』チェーンのオーナーで、人々に“チェックの佐藤さん”と呼ばれていた佐藤和則(1940-2010)さんだ。佐藤さんは感性豊かで遊び心のある商人で、トレンディな石津啓介のファッションブランド「VAN」の代名詞アイビールックを広島県内でもいち早く取り入れた人だった。その彼が、誰も気付いていなかった尾道の路地に着目していて、所有するビルを路地に因んだ「シー・アレイ」と名付け、路地に沿ったビルの中に新たな路地と公衆トイレも造っていた。
トレンディで優れものを求める佐藤さんは、その後スパゲティ専門店を開店させた。この新店舗開設の動機がまた面白い。「おいしいスパゲティを食べたいが、さりとて東京まで行くのは馬鹿らしい。いっそのこと店を作るか」と、スタッフを東京原宿の「スパゴ」に送り込み修行させ、1987年に石畳小路の一つ西にある小路に美味しいスパゲティを食べさせる店「カサリンガ」が尾道にできたという次第だ。この店は、その後、佐藤さんの次男の公治さんと奥さんの三奈さんの二人三脚で、カサリンガ・ドゥ・ターブルという名で「カサリンガ」の経営理念を継承し、ワインとチーズとスパゲティが楽しめる新たなお店に成長している。
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クレープの老舗「ワンモア・クレープ」の魅力とは


土堂本通りから海岸通りに抜ける小路に、子供から大人まで楽しませてくれるクレ−プのお店がある。ピンク色の「ワンモア・クレープ」というお店だ。原宿のマリオン・クレープの材料をベースに尾道流クレープ90種類を焼きながら、常に新しい作品を模索中。「最高の材料で最高の味を」がモットーで、価格には高校生割引、短大生割引、旅人の割引と特典がいっぱいある。最近では新たにソフトクリームに挑戦。アイスクリームの材料でつくった一味違う特別な逸品だ。
「ワンモア クレープ」へは、尾道駅から東へ、芙美子像から本通りへ入り、歩くこと5分。右手に谷山呉服店というお店の角を海岸に曲がったらピンク色の建物がすぐ目に止まるだろう。国道からは大林宣彦監督の映画シーンでお馴染みのレールでできた陸橋のすぐ東、麓食料品店の角の路地を海の方へ降りるとすぐわかる。
子供たちや大人まで多くのファンを持つこの店で、トレードマークのキャップと赤い服、ニッコリ笑顔とちょっぴり辛口の店主の佐藤さんがリタイアするという。「ワンモア・クレープ」は一体どうなるんだろう、と心配したが後継者をちゃんと決めてのことだった。幼稚園児から大学生までの若き女性たちに愛されてきたクレープ屋は、2005年11月、赤い服の佐藤さんから白い服の新しいオーナー平田水五さんに引き継がれ、店名を「おのみちのクレープ屋」と改名した。(2005年)
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