「広島の酒」へのこだわり
米場町と呼ばれる東西にのびる通りの中ほどに、明治42年(1909年)創業以来この地に構える酒店がある。昔は向井酒店と書いたそうだが、今は向酒店と書く。店内に一歩足を踏み入れると、古き良き時代の空気に触れたようで、なぜか心が和む。 大正7年の古建築らしいズッシリとした柱や梁、陳列棚の引き戸にはめ込まれた今はない手づくりの板ガラス、戦前まで量り売りに使われていたという陶器の大壷、下地の竹に漆を施した今では極めて珍しい酒造メーカーの看板、さらには有田焼(14代柿右衛門)、景徳鎮やマイセンのビアマグもある。まるで小さな博物館だ。
そんな老舗の三代目には当然こだわりがある。全国的に有名な広島杜氏の里・安芸津の「富久長」や仁方の「雨後の月」、また「瑞冠」「天寶一」など厳選された「広島の酒」、しまなみ海道開通記念発売の「おのみち麦酒」、また北広島のどぶろくも超人気だ。 ちなみに世は女性の時代、広島の酒の試飲(三種類の銘柄で500円)を始めたところ、女性のお客が多いという。これは音楽会などの文化イベントでもそうだが、旅行者の多くは女性が占めているというのが、その理由だと思っている。その点、男どもは夜の深酒で疲れてしまって、休みになればゴロ寝をする輩が多いのだろうと吾輩は考えるのだが、如何なものか……。(2019年11月19日)
店舗兼主屋が国登録有形文化財に
1898(明治31)年創刊の山陽日日新聞社が、突然2018年10月31日廃刊した後、1年と4ケ月後の2019年2月に尾道の経済界の出資で尾道新聞が創刊された。そのスタッフのほとんどは山陽日日新聞社の旧社員のようで、紙面の大半が市民の文化活動に関する記事となった。そんな中、尾道新聞2019年11月16日付けに「向酒店が国登録文化財に」という見出しで向酒店の建物の詳細が、概略次のように紹介されていた。
数年前の話では、確か店舗は大正7年に建てられたと聞いてはいたが、吾輩の聞き違いだろう。新聞では「登記簿によると1925年(大正14)に建てられたようで、米場町に面した外観や一階店舗の内部、帳場、2階の座敷は、建築当時の姿をそのまま残している」という。そして、「正面の庇は本瓦葺きで重厚さを印象付け、2階の立ちが高く近代の町家の特徴を伝えていて、港町尾道の歴史的景観の一部を形成している」と文化審議会で評価されたようだ。 最後に「祖父、父から私が預かり、今度は息子に手渡すという気持ちです。この一帯に残る他の古い建物と一緒に、後世に引き継がれてほしい」という向社長の談話で記事が終わっている。
久保1-10-4 TEL 0848-37-1133 Pなし
営業時間:9:00〜20:00 定休日/日曜日
数年前の話では、確か店舗は大正7年に建てられたと聞いてはいたが、吾輩の聞き違いだろう。新聞では「登記簿によると1925年(大正14)に建てられたようで、米場町に面した外観や一階店舗の内部、帳場、2階の座敷は、建築当時の姿をそのまま残している」という。そして、「正面の庇は本瓦葺きで重厚さを印象付け、2階の立ちが高く近代の町家の特徴を伝えていて、港町尾道の歴史的景観の一部を形成している」と文化審議会で評価されたようだ。 最後に「祖父、父から私が預かり、今度は息子に手渡すという気持ちです。この一帯に残る他の古い建物と一緒に、後世に引き継がれてほしい」という向社長の談話で記事が終わっている。
久保1-10-4 TEL 0848-37-1133 Pなし
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