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浄土寺山(瑠璃山)にも情緒豊かな坂道や石段が

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西郷寺裏参道/SaigojiUrasandoAlley


西郷寺裏参道/SaigojiUrasandoAlley

路地裏の素顔が美しいのはもう絶品


どこでもそうだが、表の顔と裏の顔があるとしたら、断然興味をそそられるのは裏の顔だろう。表の顔は造り顔でそれなりに化粧を施し、馬子にも衣装で見た目は美しいのだが、素顔となるとそうはいかない。化粧で隠すことができない普段着だから、それで美しければもう絶品だね。
西郷寺の表参道は車で近付けるけれど、裏参道は自分の足でなければ行くことはできない。美しいものを手に入れようとすると、それなりの努力が要るものだ。それで、裏参道へ通じる道はどこが入口か、というと尾道市民でも知るものは少ないだろう。へぇ、こんなところへあるのだと、実は吾輩も驚いた。尾道市立図書館の西隣のキリスト教会(かつてはこのあたりは保健所だった)の裏にあるのだ。西郷寺裏参道/SaigojiUrasandoAlley

このページの看板写真となっているピンコロ舗装の小道は、いわゆる「古寺巡り」と称して、尾道町の寺々を結ぶ小道を石タイル(ピンコロ)で舗装した道で、真言宗の浄土寺に通じる通称「浄土寺道」に繋がっている。裏参道は浄土寺山麓の急斜面を二ケ所の石段と坂道で結び、西郷寺に導く。どうですか、この尾道的風情!!何んだか心が「シャキッ」として、わが猫族の尻尾もピーンと宙に立つようで、実に気持ちの良い路地だ。
 

映画「東京物語」のロケ地を発見!


ところで、実に興味深い話が吾輩の鋭敏な耳に舞い込んできたのでご紹介しよう。
吾輩が敬愛する飼い主の友人で、美術史家にして美術評論家でもある学者の末永 航氏が、尾道を舞台にした小津安二郎監督の映画「東京物語」(1953年松竹)に関する共著を執筆中(2010年6月出版予定)で、吾輩の飼い主にその映画シーンの1コマ1コマがまとめられた分厚い写真集を見せ、そのロケ場所が現在のどのあたりにあるのかと尋ねたという。吾輩の額より少々顔の広い飼い主、ニヤニヤ写真を見ながら、おもむろに「ほほ〜ぅ、これは筒湯小学校の裏門に通じる道で....」「これは...フム。どこかで見たような...」と言う。しばし時間を掛けながら、記憶の底をめぐり歩き考えた末に、「これはどうやら西郷寺の裏参道近辺、つまり今の尾道中央図書館で、昔は市民病院だった、あのあたりに抜ける路地では...。」と思い出し、早速、写真を眺めたら「これは!間違いない」と宝物を発見したように大喜びの満足顔であったという。このトップ写真こそ、「東京物語」のあの場所だと判明したという次第である。その「あの場所はどこだ?」というお方は、今一度、世界に名高い「東京物語」を鑑賞されたい。何だか話がこんがらがってしまった。

愕然として、言葉も出ない!


2019年4月11日、同じ裏参道のあの場所を新しいスマホで撮り直そうと出かけたが、吾が飼い主は現場に着いてアッと驚いた。あるべきものがない。イメージしていた記憶の空間が音を立てて崩壊してしまった....。あとは、同じ場所を2007年に撮った写真と2019年4月の写真(路地跡と畑)をご覧いただくだけでいい。吾輩も言葉を失った...。(蛇足ではあるが、写真の黒白の猫は野良のようで、爵位のある吾輩の末裔ではない。)西郷寺裏参道/SaigojiUrasandoAlley


裏参道が表参道に!?


本来の目的は裏参道のバーチャル散歩(この文章の下にある地図のさらに下を見よ!)であったが、残念ながら急な石段を上がって西郷寺の山門を潜らず右手にずんずん進んで行くと何とか裏参道の入口手前までは行くことができた。あるいは山門をくぐって境内に入って右手に進んでも裏参道に通じる入口手前までは辿り着く。美味しいものは最後にとって置くではないが、肝心な目的地にはバーチャル散歩では残念ながらいけない。
要は、いつか尾道にお越しいただいて、実際に歩かれる以外には道はなさそうだ、ということが結論のようだ。
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