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住吉浜の産業遺構がメタモルフォーゼ、新しい命が誕生。

尾道のまちづくり/Machizukuri > 住吉浜公衆電話室1/SumiyoshihamaTelephoneBox1

住吉浜公衆電話室1/SumiyoshihamaTelephoneBox1


住吉浜公衆電話室1/SumiyoshihamaTelephoneBox1
どんどん姿を消すのは公衆電話の宿命だが、この「住吉浜公衆電話室」は、ちょっとわけが違うのだ。この公衆電話室は、当時の亀田市長直属の諮問委員会「尾道観光市民会議」が知恵を絞り、産業遺構をメタモルフォーゼ(新たな命を吹き込み機能を変容)させ、1996年12月に完成させたもの。まさにその姿を消す運命にあった海運会社所有の固定式クレ−ン(1950年代)をはじめとして、ほとんど全ての使用部材が、廃材や粗大ゴミ寸前の中から蘇ったゲイジツ作品なのだ。
固定式クレ−ンは、「絵のまち尾道」にふさわしく、後期印象派の点描法にちなんで、市民の手でブル−、グリーン、グレ−の三色で塗られ、野外彫刻然と澄みわたった空に聳える。ガラス張りのオペ−レ−タ−室は、木部を鮮やかな赤、台座は黒に色分けされ、二つの部屋に仕切られる。その格子状の仕切りには、廃材となった様々な板ガラスがステンドガラスのようにはめ込まれている。
一つの部屋は、オイルにまみれた心臓部の機械がダイナミックな容姿を剥きだしにしている。そして北側上部にある小さな棚には、この心臓を見守るように黄金色の天使がちょこんと腰掛けている。
もうひとつの部屋、電話室の入口の扉には、「住吉浜公衆電話室」というアンティ−クなデザイン文字がガラスに刻まれている。ドアを開けると、コンクリ−トの床には、さりげなく小さな黒い石が埋め込まれ可愛らしい。実はこれ、自分で云うのも気恥ずかしいが、路地ニャン公の足跡をデザイン化したものだ。
正面には、パソコン通信も可能な最新式の電話器が、尾道水道を行き交う船やカモメが描く風景を背に、特別製の電話台に備え付けられている。この電話台、特別製というだけあって、使われている天盤と脚の装飾板には、赤、青、黄、緑や青といった様々な色がちりばめられ実に美しい。実はこの装飾板は最先端の建材で、ロンドンの工房で作られたもの。シャンプ−の空容器を特殊技術で加工したMOW合板(made of waste)、廃棄物再利用で生まれた装飾用建材なのだ。
古いもの(産業遺構)と最先端技術が融合する、しかも廃棄されたものから全く新しいゲイジツ作品として生まれ変わった「住吉浜公衆電話室」。それは尾道ならではの知恵が生んだ、全国で一つしかないクレ−ンつき電話ボックスなのだ。
この「住吉浜公衆電話室」は、尾道出身者である建築家・岡河 貢氏とランドスケ−プ・アーキテクト戸田芳樹氏のアドバイスと協力により1996年12月に実現したものだ。このことは、建築雑誌「新建築」「SD」に数ページにわたり特集された。
ところが、ある日、電話室の入口ドアにはめ込まれていたガラスがなくなっていた。しばし、お呆然として眺めていたが、これは信じ難いことで夢ではなかった。どなたか夜のうちに黙ってレトロ風にデザインされたはめ込みガラスをごっそりお持ち帰りになったようだ。(その記念写真も掲載した。)仕方なく、吾輩たちはまた市民の浄財を何とかかき集め、同じものを製作依頼し再びはめ込んだ。
<尾道市は芸術文化都市を掲げているが> 2019年5月、住吉浜公衆電話室のクレーンを見てびっくりした。同時に情けなく、尾道市の文化レベルに愕然とした。考えてみれば、尾道市に寄付したことが裏目に出た最初の出来事が、夜のライトアップ中止事件だ。1996年から2007年まで夕刻の17:30頃から23:00頃までライトアップされ、尾道の海辺の豊かさを演出していたが、いつの間にか尾道市が電源が切ったのだ。そして何年かは忘れたが、2回目のはめ込みガラス盗難事件、そして2019年1月、今回の3回目の驚きが、クレーンの空色一色塗装事件だ。我々は「絵のまち尾道」にふさわしく、後期印象派の点描法にちなんで、市民の手でブル−、グリーン、グレ−の三色でクレーンを市民参加で塗っていたのだが、2019年1月にその制作意図を無視しての暴挙!と言いたいが、そんなことも露知らずというところだろうね。 芸術文化のまちが泣いている。
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