トップページ 

天狗は尾道町で明治時代から引継がれてきた箱寿司・巻寿司の老舗だ。

ミシチャラン/Mishicharan > 天狗寿司/TenguSushi

天狗寿司/TenguSushi


天狗寿司/TenguSushi

明治時代から引き継がれてきた老舗「天狗寿司」


天狗寿司/TenguSushi
明治10年ごろ大阪の三九橋筋で開業した「天狗ずし」が、尾道の浮御堂小路角に引越してきたのが明治23(1890)年という。以来、焼き穴子、桂馬の厚焼きたまご、しいたけに、それぞれ小海老のおぼろ(*)で彩られた六切れの品良く飾られる箱寿司、そして尾道独特のあけ貝(あさりのむき身)と桂馬の厚焼きたまご、しいたけ、かんぴょう、穴子、おぼろ、三葉の7種類の具が入った太巻きの巻寿司の味は、四代目となって今年で36年目を迎える店主・宮地信喜さんがしっかり受け継いでいる。天狗寿司/TenguSushi

ここでちょっとご注目、吾輩が小海老の「そぼろ」がいいねと言ったら、口数の少ない4代目店主が、控えめに吾輩に『天狗では「そぼろ」ではなく「おぼろ」です。』と教えてくださった。
あとで調べてみたら、「おぼろ」は鯛や平目、海老を生からすり鉢ですりつぶし、味を付けてから火にかけて煎ったもので、「そぼろ」は魚や鳥、豚肉などの挽肉をほぐして味をつけながら汁気が無くなるまで炒ったもの。 また、「そぼろ」はもともと「粗おぼろ」から来ており、おぼろの方がより細かく手がかかるのだという。道理で、吾輩の発した「そぼろ」とは違う、天狗寿司が毎日この「おぼろ」づくりにこだわっているのが手に取るように分かる気がした。

5代目が引き継ぐ老舗「天狗寿司」


天狗寿司/TenguSushi
天狗寿司/TenguSushi
平成16(2004)年、東京でサラリーマンを経験し、福山市で花火師となった息子さん宮地 準さんが尾道に帰り、五代目を継いだ。どこの親もそうだが、跡継ぎの決まった四代目の嬉しそうな笑顔が印象的だった。
天狗ずしは、歴史都市といわれる尾道でも、明治から大正、昭和、平成と時代を越えて引継がれた数少ない老舗のひとつだ。四代、五代の親子が仲良く店に立つ姿は、微笑ましい。

ちょっと余談な話だが


天狗寿司/TenguSushi
天狗寿司/TenguSushi
白樺派を代表する作家で、小説の神様といわれた志賀直哉は、尾道滞在中に天狗の二代目の義妹に大変世話になったという。そのお礼と感謝の気持ちということで贈られてきた二客の湯呑みが、天狗寿司の入口ショウーウインドにさりげなく飾られている。
そんな老舗で、「尾道のツウは箱寿司や巻寿司に玉赤(ぎょくあか)を食する」という話を「食」に一家言もつ知り合いに聴いた。そんな言葉にすぐ影響されるミーハーな吾輩、以降、玉赤を注文することを忘れていない。玉赤とは半熟たまごを入れた赤だしのことだ。(2006年4月3日)
土堂1-4-14 P契約駐車場あり
TEL 0848-22-4608
営業時間 11:00〜14:00、15:00〜19:00
定休日 木曜日(祝日の場合は営業)

箱寿司のおぼろの彩


天狗寿司/TenguSushi
新型コロナウイルスの影響で、火曜日の土堂本通りは、やはり人影は疎らだ。久々に天狗の暖簾をくぐって箱寿司とツウの好む玉赤を注文した。桶に入った九切れの箱寿司のおぼろの彩も良く、パクパク食していたら、いつの間にか腹八分をとうの昔に超えていた。
「それで、営業時間は?」「今は臨時に18時まで」と会話を交わして、ふと、天狗は普段でも19時までとなっていたことに気が付いた。寿司屋が19時までとは、どういうことか。飲食店の商いはアルコール飲料で食も進み、夜が稼ぎどきというのが一般的。それに反して、天狗では、昔から夕刻には店を閉める習わしだという。興味津々の吾輩が、四代目にどうしてかと質問すると、「うちの店は午前中、あるいは14時頃までが勝負です。」との答え。そういえば、じっくり昔を思い出してみると、舌の肥えた尾道人はその昔から、天狗の寿司をテイクアウトの注文で楽しむのが日常の贅沢だった。今でもこの天狗寿司は、「寿司」だけで勝負するという非常に真っ当で健全なお店だ。だからこそ、五代も続く老舗なのだと吾輩は大いに感心した。(2020年7月7日)

  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi
  • 天狗寿司/TenguSushi

  • ここを見た方はこちらにも立ち寄ってます