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特別なものなどない。どこにでもあるさり気ないものが美しいのだ

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夜の住吉浜公衆電話室/SumiyoshihamaTelephoneBox3


夜の住吉浜公衆電話室/SumiyoshihamaTelephoneBox3
尾道駅前から見る元日立造船所のクレーンのライトアップ(現在は向島ドックのクレーンのライトアップとなっている)は、2004年にグッドデザイン賞を受賞し、多くの人々の心をとらえたが、今から11年前の1996年にも、尾道ではクレーンのライトアップがあったことは余り知られていない。
「住吉浜公衆電話室」の評価は分かれる。「真っ赤に塗られた古ぼけた建物と使い物にならない錆びたクレーンではないか」という上辺しか目に入らぬ人。「これは凄い。あり来たりの材料で、よくもこんなに楽しくて、美しいものができるものだ。感性豊かだねぇ」と本質が見える人。「新しい」ものが「美しい」のだと信じている人など、ひとの感性は千差万別だ
「新しい」と「美しい」は同義語ではない。「住吉浜公衆電話室」の評価は、「古いものは一般的に汚い」と思う人と、「新しい」が「美しい」と対極するものもあり、「古いもの」にも「美しい」ものもあると主張する人の違いに似ている。御主はどちら派? 
話は最初に戻って、ライトアップされていた「住吉浜公衆電話室(尾道市所有)」は、いつの間にか電源を切られ、夜の空間から忘れ去られていた。
それではクリスマス・イブに間に合うようにと、2007年12月にNPO法人おのみちアート・コミュニケーションの声かけで、ボランティアたちによる「住吉浜公衆電話室の化粧直し大作戦」が展開された。総勢14名のボランティアの活躍で、大掃除の後、赤いペンキを塗り直し、再びその美しさを取り戻した。そして、「住吉浜公衆電話室」は現在、夕刻の17:30頃から23:00頃までライトアップされている。「住吉浜公衆電話室」に注がれた人々の愛情が、尾道の海辺の豊かさを演出しているが、この夜の海辺空間がいつまで維持されるものか、吾輩は少々気がかりだ。 (2007年12月23日)
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